謎の道を探る(2)
1969年の航空写真では、国道246号のよこからちょろりとはみ出ていた謎の道。
6年ほどさかのぼってみると、何が起こったのかわかってきた。
ちょろりとはみ出ていた道は旧道だったのだ。もともとの大山街道筋である。
それではこの6年の間に何があったかというと1964年の東京五輪だ。
この国家最大規模のプロジェクトで東京とその近郊はかなりの開発と改造を行った。
道路交通インフラを強化するために環状7号、8号の新設、首都高速の建設、青山通りの拡幅など。その一環としてこの国道246号も直線化とともに拡幅されたのだと思う。
さらに遡って戦後すぐの1947年の様子。
あまり変わらない。このあたりは戦後20年近くは農村だったようだ。
さて、では、なぜこの街道がここだけ曲がっているのだろう。
このあたりは北東方面から切りとおしを通って、なだらかに川が刻んだ谷へ向かう坂になっている。こんなふうに曲げなくてもまっすぐで十分だと思うのだが……。
このあたり様子を伝える最古の地図。1906年(明治39年)
やはり曲がっている。ただ、この地形図を見てみると、なんとなく理由がわかってきた。南東の方角から丘が張り出している。この膨らみを避けるために道を曲げているのではないか? いや、自然にできた道だから、人が行き来する上で一番楽なラインを通っていたら、このようになったと見るべきだろう。
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