日曜の夢。

乃木坂46のトップ3の一角で絶大な人気を誇る、橋本奈々未が来年2月でグループ卒業、芸能界からも引退する。
彼女は旭川の出身。実家が貧しく「電気やガスがよく止まる」ような生活をしていたという。それでも東京に出てきて武蔵野美術大学に通っていた。奨学金で学費は消え、生活費はバイト代でまかなっていたが、生活は厳しく、ヘアカット代にも事欠き、カットモデルをしていたという。彼女が乃木坂46に合格した時にショートヘアだったのはそういう理由だ。
5年が過ぎ、弟が大学に入学。成績がよく特待生となり、また彼女も弟の学費のメドが立ち、旭川に家を建てるメドがついたので引退するという。
もともと、表に出る性格ではなかったが、「生活のため」にアイドルとなった。
お金のメドが立ち、母親から「今後は好きなことをしてくれていい」と手紙をもらい、決めたという。

というのが前フリ。

日曜の夢は私がなぜか乃木坂のスタッフになっており、4日後に三重県の伊勢でビデオクリップの撮影があるけれど、それまでがオフだということで、「俺んち、実家が大阪なんだけど、遊びに来る?」と聞いたら「行く!」と返事されて、なぜか3泊4日の実家泊まりに。
昼間は道頓堀とか新世界などを食べ歩き、夜はうちのオヤジと酒を飲んでる(意味不明)
「べっぴんさん連れてきてありがとうな」とかオヤジ言ってるし。

寝る部屋は2泊めまでは別だったんだけど、最終日、寝ようとしてたらドアが開き、そこには枕を持った彼女が。
「一緒に寝ていいですか」
「え、ああ、はい……」

一緒のお布団に寝ていると。
「私、そういうこと、していいですよ」

え。。。

ただし、この場面、先週見た「逃げ恥」の予告編そっくりだったんですよね。明らかに影響されていました。
それでも、私が彼女に覆いかぶさってキスしようとしていたら……。

「パパー、起きてる? ちょっと肩押してー」

奥さんの声で起こされました(泣)


中2の思い出(5)

 どうして、博美はこんな手段を取るんだ。
 好きなら好きで、こっそり僕を呼び出して、自分で気持ちを伝えてくれればいいじゃないか。そしたら、僕はすぐにでもOKしたのに。
 電話でもいい。手紙でもいい。
 僕は二人だけで話をしたかったのに。どうして、ほかの人を巻き込んで、みんながいる場所でこんな恥ずかしいことに巻き込むんだ。
 みんなが僕をじっと見てる。女子たちにはやし立てられ、「博美が自分のことを好き」と明確に言われ、僕は頭の中が沸騰した。女の子にそんなことを言われたのは初めてのことだった。
 なんか言わなきゃ。
「俺、今、忙しい」
 咄嗟に出たのがこの言葉だった。そのあと、どうなったのか、まるで覚えていない。
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 期末テストが終わり、春休みになった。
 クラブ活動で学校にいたとき。偶然通りかかった教室に、クラスメートがたむろっていて「なにしてんの?」と入っていった。男どもがたむろっていたら、まず、女の子の話に決まっている。
 6,7人で話をしていたと思うが、その中には林もいた。3年になって、ハンドボール部のキャプテンになるのだという。運動はまるでダメな僕からしたら、次元の違うやつだ。俺も運動神経がよく、かっこいい顔に生まれたかったなあ……。
 話は「今だから言える話」になった。
「橋本はやっぱ、博美だよな」
「おい、」
 僕は林がいるのにそのネタはダメだと促す。
「ああ、気にしなくていいよ。もうすぐ半年経つし……」
 そう言いつつ、林の表情は微妙だった。
「橋本、おまえ博美振ったんだろ」
「え?」
「バレンタインデーに女子たちが博美の力になって、告白を手伝ったって話、聞いたんだけど、お前、めっちゃそっけなかったって聞いたぞ」
「あーーー」
 あのことか。
「あれか。みんなで俺をハメようとしてるのかと思ったんだよ。スターどっきりマル秘報告みたいに。だってさ、みんながいる前であんなこと言われて信用できると思うか?」
 その問いかけに、そうだよな、などと同意するクラスメートたちだ。
 ただ、その帰路に。
 林と帰っていた。彼の家と僕の家は近い。通学路も重なる。
「博美のこと、ほんとに振ったのか」
 いつになく真面目に聞かれた。
「振るも何も、あんなことされて信用できないよ」
 そういうと林は少し考えていたが、思い切るように話し始めた。
「いいか、これから言うことは誰にも言うな。俺が博美と別れた原因は……キスしようとして嫌がられたからだ」
「は?」
 いきなり何を言い出すのか。
「キスしようとしたら博美がそのとき言ったんだ、『林くん、ごめん。私、本当に好きな人、別にいる。今、それがわかった』って」
 キス? 林は博美にそんなハレンチなことをしようとしたのか。キスなんて大人がすることだぞ。僕はまるで違う角度で憤っていた。
「博美が本当に好きなやつ? いったい誰だ? ってずっと思ってた。でも、バレンタインデーの話を聞いてわかったよ。博美が好きなのはお前だ。どっきりでもなんでもない。本当に、博美はお前のことが好きなんだよ」
 林は半泣きの顔で僕に言った。彼がどんな気持ちでそんなことを言ったのかは、今となってはわからない。失恋の痛みなのか、スペック落ちの僕に負けた屈辱だったのか。
 それにしても、僕は自分の勘違いで、好きな女の子からのアプローチを完全無欠にシャットアウトしてしまっていたのだった。
(つづく、次回最終回)