宇宙戦艦ヤマト2199第9話

今回は旧作にはないリメイク版のオリジナルエピソードです。
エンケラドゥスで捕獲したガミラス兵は、オートマタ=AIを備えた自動人形だということがわかりました。
修復可能な1体を再起動して、ガミラスの情報を聞き出す作業をするアナライザー。
修復された自動人形を「オルタ」と名付けて教育していまアナライザー。
オルタはどんどん自己認識を深め、「自分は何者であるのか」と考えるようになり、ヤマトのネットワークに侵入するようになります。

偵察機の収容作業のサポートにあたっていたアナライザーは、ヤマトのネットワーク内で「オルタ」の存在に気づき、そのために偵察機の収容作業で事故が起りかけます。

真田は「オルタ」との接触がアナライザーに影響を与えているのなら初期化する可能性もあるとアナライザーに告げ、オルタとの接触を禁止しました。

しかし、オルタは自分が何者であるのか、そして艦内ネットワークの中で出会った「女神」を探すために脱走。

保安部が出動し「オルタ」を追い詰めますが、真田とアナライザーは武器を納めるよう要請。「オルタ」は自分が孤立していると認識した状況が続いた場合、自爆するプログラムが走っていることがわかったからです。

保安部長の伊東は「ただの機械だろう」と言い放ちますが、真田に「君に心があるのかどうかさえ分からない」「ただ人間らしく振舞っているだけなのかもしれない」などと言われる始末。

オルタは甲板上に出ます。そこにはアナライザーが待ち構えていました。
オルタに接続したアナライザーはオルタを初期化しカーネルを破壊、再起動を不能にしてメインメモリのみを抜き取りました。

あとで解析したところ「自爆プログラム」は起動していなかったことが判明。すなわち、ヤマトに少なくとも一人は自分の味方がいる、と認識していたことになるということがわかったお話が終わります。

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この回は多層構造になっています。
まず、艦内ラジオがベースとなり、そこにリクエストされた21世紀末の名作小説が紹介されます。その話はロボットが他のロボットと接触することによって、自己認識を得るという話になっており、本編のオルタとアナライザーの関係に重ねられています。

旧作にはなかった「情報ネットワーク」の描写は攻殻機動隊のそれに似ています。
ロボットの自己認識についての話の部分はブレードランナーの影響もあるでしょう。

また、今回「オルタ」が女神がいると思っていた部分は旧作の設定にはなかった「自動航行装置」。ヤマトの前甲板に設定されています(テレビ版ヤマトIIIでハイドロコスモジェン砲が設置されていたところ)。
イスカンダルへの航路情報があるという、もっとも重要な部分であり、クルーからは「開かずの間」と呼ばれていましたが、ヤマトラジオのDJを務め、霊媒体質を持つと自分で言っていた岬は、その「開かずの間」の真下で「何か」を感じるようになります。
これは、このあと後半のヤマト艦内の事件について重大な伏線となっています。

これまでほとんど登場していなかった保安部の伊東がクローズアップされ、その性格や思想の一旦が明らかにされることで将来の火種が想起されます。


宇宙戦艦ヤマト2199 第8話

太陽圏を脱出したヤマトを追いかけて、冥王星基地を陥落させられたシュルツに特命。
「デスラー魚雷」によるヤマトせん滅作戦をデスラー自身が立案したので、高官たちを招待してヤマトの戦いぶりを観戦するという回。
あの、「下品に笑った高官」を穴へ落とし「ガミラスには下品な男は不要だ」の名セリフもありました。

シリウス星系を航行していたヤマトは最後に地球の姿を超望遠で見ます。
すると、そこには青い地球の姿が。
そう、シリウスは地球から8.8光年離れているため、この姿はは8.8年前、つまりガミラス侵攻前の地球でした。そこからワープして12光年を飛び、グリーゼ581星系に
到達。
これは実際にある星で、ハビタブルゾーン内に惑星が確認されています。

そこで新見情報長が探索チームの編成を沖田に進言しますが却下されます。

実は「イスカンダルへ行く」=「ヤマト計画」の前に、「地球人類が移住できる星を探す」=「イズモ計画」というのがあったという設定が旧作から追加されています。

ヤマト乗員はもともとイズモ計画のために養成されており、ヤマト自体もそのために建造されていたということになっています。旧作だとヤマトがたった1年で作れた、みたいなことになっているため、そのあたりのつじつまを合わせているのです。
この「イズモ計画推進派」は今後もヤマト艦内の伏線となっていきます。

さて、ヤマトが星系内に侵入すると、人為的に高電圧にされた太陽風による壁が構築されていました。その中を進んでいくと、シュルツ艦から発射された「デスラー魚雷」。迎撃すると、その中には「エネルギーを食べて自己増殖するガス生命体」が入っていて、ヤマトを追いかけてきます。

太陽風による壁を避けつつ、逃げるとその出口には主星であるグリーゼ581が。

艦内温度が上がり、乗員は宇宙服を着用して恒星近くまで進むと、恒星の莫大なエネルギーを求めてガス生命体は逆に恒星に焼きつくされてしまいました。
それを見て、シュルツは攻撃を開始。しかもヤマトの目の前には巨大なプロミネンスが噴出。沖田はそのプロミネンスを波動砲で撃てと命じて実行。開いた穴を通ってヤマトは脱出に成功しますが、シュルツ艦は復元した炎に焼かれ撃沈しました。

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旧作ではこの前に「デスラー機雷」を人の手で排除する、という回があありましたが、この話は削られたようです。機械に頼りすぎるガミラスというのを印象づけた回でしたが。また、その前にはアステロイド・ベルトの岩をヤマトにまわりに吸着して防御壁代わりにするという回もありましたが、これも削除されています。

さて、この回の旧作の舞台はオリオン座アルファ星ということになっています。そのまま考えるとベテルギウスなのですが、旧作のヤマトでは「オリオン座の三つ星のアルファ星」という、よくわからない設定になっているので本当の舞台はよくわかりません。
それに比べて、グリーゼ581は最近の科学成果をよく取り込んだ舞台設定と感じました。