歯医者

左の奥歯に冷たいものがしみるようになってきたので、会社の目の前にある歯医者に行ってみた。2年前に開院したばかり。夫婦に歯科衛生士と受付の4人で運営しているこじんまりとした歯医者だった。

緊急だったため朝1番しか開いておらず、中抜けしていった。

診療台は近未来のデザインでPCのディスプレイがついている。
超小型のデジタルカメラで口の中の写真を撮り、「この歯が怪しいので、古い詰め物を取ってみます」とのこと。レントゲンもデジタルで撮影して瞬時に転送されていた。

問診票に「クリーニング時はいつも麻酔していました」と根性無しなことを書いていたら、麻酔してくれるという。歯茎にぶっすり刺されると思っていたら、5mm辺の薄い紙のようなものを張り付けられた。

しばらくするとなんだか感覚がなくなっていく。
「麻酔が効くまでしばらく待ってますね」
「え、麻酔これからじゃ」
「もう終わりましたよ」

薄い紙のようなもので表面麻酔をしてから、歯茎に注射したよう。
まったくわからなかった。

詰め物を6割ほど取った段階で再び写真撮影があり、見せられた。
いつ埋めたのかわからないほど古いものだが、その隙間から虫歯になっており、詰め物の下まで広がって、炎症を起こしていた。

「全部はずしたあと鎮痛薬を入れますね」

やがてすべて外れ、薬を入れられた。所要時間は50分。

初診料にレントゲンなどの検査費もあったので3,720円もかかってしまった。
カードで払おうとしたら、医療保険は現金のみだという。カードを当てにしてたので持ち合わせがなく、急きょ、近くの郵便局で下して支払った。

来週の火曜日の夜が次回なんだけど、台風がきそうなんだよなあ。

それにしても、歯医者、ぜんぜん痛くなかった。


皆既月食

こんな浅い時間に皆既月食なんて奇跡のようなもの。
都心の会社を出たときには、かけ始めた月を見ることができた。

地下鉄に乗って帰宅途中、奥さんにメッセを送る。

娘に月食を見せろというのだが。

雲がかかってみえないという。

なんということだ。

やがて私も最寄駅に着く。

たしかに薄い雲が広がっていた。

普段の満月なら、「ここにあるよ」とわかるぐらいの光を放っているだろうが、なんせ、皆既月食中。

結局わからず。

帰ってきて、テレビのニュースで見たりしていて、ふと、今はどうかなとベランダへ出てみた。

あいかわらずの雲だけれど、やがてうっすらと光が漏れ、皆既を終えた三日月が見えてきた。急いで娘を呼んで、月食を見せる。

「あれ、じいじ?」

「そうだよ」

「じいじ雲にかくれちゃう」

「かくれんぼしてるのかな」

やがてすっかり雲の中に入り込んでしまい光は失われた。

ちゃんとした月食、見せてやりたい。