世界第2位の産出国・日本


日本は大陸と海洋の狭間にできた造山帯を国土としているため、鉱物の種類は多い。
金銀銅スズ亜鉛鉄から石油、ウランに至るまであることはある。
けれど、埋蔵量が少ない。採算ラインに届かない。
だから、資源小国と言われる。
そんな中で産出量世界第2位の天然資源がある。

それはヨウ素だ。

放射能漏れ事故のときに服用するアレである。
ヨウ素は甲状腺に集まる習性があるため、ヨウ素137が漏れた場合、甲状腺がんを引き起こす恐れがある。しかし、甲状腺が保持できるヨウ素の量は限られているために、前もって放射能のないヨウ素を服用して甲状腺の中に放射性ヨウ素が入ってこないようにする。そういう理由で放射能事故のときヨウ素を服用するわけだが、そのヨウ素の産出量がチリに次いで世界第2位なのが日本なのだ。しかも関東地方である。

実は南関東の地下には大きな天然ガス田がある。「南関東ガス田」と言い、現在も千葉の茂原で天然ガスの生産を行っている。かつては東京でも生産されていたが、地盤沈下が起こったため取りやめられた。

ガスはメタンで、かつての海水が地下深くに閉じ込められた中に含まれている。しかも、この地下水の中には海水の2000倍にも濃縮されたヨウ素が含まれている。これを取り出して輸出している。

千葉の茂原市近辺は地上にまでガスが漏れ出している場所があり、過去に何度も爆発事故が起きている。

細胞分裂を起こすRNA転写は甲状腺ホルモンが起こす。これを甲状腺で作るため、ヨウ素は人体に必須である。日本人は海藻が海水から取りこんで濃縮したヨウ素を食べているため、疾患はほぼないが、海から遠く離れた場所ではヨード欠乏症を引き起こす。そのため、アメリカや中国で販売されている食塩にはヨウ化カリウムが混ぜられている。