ダム地震


ダムを作ることにより起こる地震があります。
そのまんま、「ダム地震」と呼ばれるこの現象は、本来地震がほとんど起こらない場所で地震が起きることを指します。

たとえば、エジプトのナイル川に作られたアスワン・ハイ・ダム。ダムが完成したのは1964年ですがダム湖にあたるナセル湖が満水になったのは1978年。それから3年後の1981年にM5.6の地震が発生。エジプトの歴史上、このあたりで地震が起きたのは初めてで、膨大な水量から地盤へものすごい重量がかかり、また水の浸透もあって起きたと考えられています。
このときの地震はたいした被害はありませんでしたが、インド西部に作られたコイナダム近辺では貯水開始から地鳴りや小さな地震が頻発し、満水となった5年後にM6.3の地震が発生しました。もともと、このあたりはデカン高原と呼ばれる溶岩台地で地震はまったくなかったところ。この地震で180人が亡くなり、2000人が負傷しました。

地震に伴って発生した地滑りで大変な被害が出たこともあります。
イタリアのバイオトンダムは貯水直後から地震が頻発しはじめ、完成してから3年後の1963年にダム湖岸の山が地滑りを起こして大量の土砂が湖に流入、その衝撃で「津波」が発生しました。
ダム本体はほとんど無傷でしたが、ダムのあたりでは「津波」は高さ100メートルを超えて下流の村を襲い、2500名が死亡しました。
現在、このダムは放棄され、ダムが健在なためにたまっていく水を抜くための導水路が新たに掘られて、ダムに水がたまらないようにしています。

日本にもたくさんダムはありますが、もともと国土すべてが地震の巣と言っていいほどなので、なかなか因果関係はわかりませんが、ダムが地震を起こす、というのは定説となっているので日本でも起こっているんでしょうね。