週末はずっと雨。
土曜はそれでも午前中、いつもの掃除。
午後は奥さんは学童の保護者会のため、私が娘を連れて水泳教室。
今まではこういう場合、女子ロッカーの入り口付近で娘の着替えをさせていた。成人男性は女子ロッカー内に入れないからだ。入り口付近といっても一応壁があるので、外からは見えないが出入りもあるので落ち着いて着替えられる環境じゃなかった。
そこでこの日から、娘が一人で着替えることになった。
学校の水泳授業でも自分ひとりで着替えているんだし、本人も「やる」ということなので。
ちゃんと着替えができた。
そのままスーパーによって帰宅。
いつもの通りに出勤。転記予報では夕方に降りそう。傘を持っていくのが面倒だな、会社の置き傘で対応しようかなと思ったが、結局持っていった。
娘を学校まで送りいつもの通勤ルート。いつもの混み具合。渋谷で前の人が降りたので座れた。
「ねこあつめ」や「ほしの島のにゃんこ」しながら永田町までしばし座れると思っていたら、表参道に到着した瞬間、すさまじいブザー音が鳴り響いた。
すぐに女性車掌が「半蔵門線は全線で運転を見合わせます。詳しいことはわかりしだいお知らせします」と車内放送。なにが起こったんだろう。
すぐに「お急ぎの方は銀座線をご利用ください」と誘導した。その段階で立っている人はほぼ降りた。私はまだ座りながら状況を見ていた。
さらに2分後、「半蔵門線は停電のため、全線で運転を見合わせています」と、理由を含めた放送が流れた。
電車で停電。なぜだろう。少なくとも、表参道は問題ない。
さらに数分後、「半蔵門線は九段下で停電のため、全線で運転を見合わせています」と、場所の明示もされた。
しばらく待っていたが、「復旧までに1時間かかる模様」と放送があった瞬間、大多数の人が立ち上がって、銀座線に集中した。幸い、渋谷駅始発の銀座線はそれほど混んでいなかった。
外苑前、青山一丁目と過ぎ、乗換予定の赤坂見附に近づく。ここで降りて、有楽町線の永田町駅ホームまで乗り換える。600メートルも歩かないといけない。しかも、かなりアップダウンのあるルートだ。
ところが。
赤坂見附に到着する間際、「半蔵門線はさきほど運転を再開しました」と言うではないか。1時間かかるというから乗り換えたのに、あれから10分も経っていない。
銀座線・赤坂見附から有楽町線の永田町駅へ行くには、途中で半蔵門線の永田町駅ホームを端から端まで歩く必要がある。そこにたどり着いたとき、出発していった電車は、まぎれもなく私が乗っていた電車であった。そのまま座っていたほうが速かったのだ!!
無念の気持ちを噛みしめながら歩き続ける。人生にはこんなこともある。
たいしたことはない。
以後は、いつものように麹町駅。外に出ると雨が降っていた。
傘を持って出た判断は間違っていなかった。
傘を持たず走っていく人を横目に、私は傘をさして歩き出したのだった。
(完)