「いつかきっと」

大江千里が1989年にリリースしたアルバム「Redmonkey Yellowfish」はある意味谷間に挟まれたようなアルバムだ。出来が悪い、というのではない。前年にリリースされた「1234」は名曲「Rain」を含む、大江千里中期の代表作だし、翌年にリリースされた「APOLLO」はオリコンアルバムチャート1位を獲得した珠玉の作品である。
それらとくらべるとやや地味な印象があるアルバムだと感じるのだが、ツアーをともに回ったバックバンド「HIPS」と作り上げた「We’re Travellin’ Band」、突き抜けた路線の最初である「おねがい天国」などバラエティに富んだ楽曲か盛り込まれてクオリティは高い。
大江千里のアルバムは最後に必ずバラードが入る。このアルバムの場合「いつかきっと」がそれに当たる。最近、聞き返してこの曲の秘めたパワーに改めて気付かされた。

http://petitlyrics.com/lyrics/6593

この曲はA-B-A-B-C-A-C-Aという構成。Bがいわゆるサビだけど、この曲構成のすごさは、BでもCでもなく、Aメロで終わっている点。聞けばわかるけれど、Aメロもいわゆる「解決」はしていない。「歌いっぱなし」のような印象を与えるのだが、それにこの歌詞が載ると、どうしようもない無力感と哀愁をじりじりと感じてしまう。もう少し知られて、評価されてもいい楽曲だと思う。