色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

ようやく読了。前作の規模が大きかったので、今回は長編小説といってもこじんまりとした印象。

高校生のときに仲良し5人グループの一人だった多崎つくるは、大学2年の夏に突然他の4人と絶縁され、グループから追放されて心に深い傷を負う。

16年経ち、初めて心から欲することができそうなガールフレンドに、その件を話すと「彼らに会って真実を知ったほうがいいと思う」とアドバイスされ、4人に会うための旅をする。タイトルの巡礼とはそのことであり、「色彩を持たない」とは、他の4人が名字に色のつく文字を持っていたところから。

村上春樹の作品によく出てくるテーマに「喪失と再生」があるのだが、物語の最後で主人公が再生したのかどうかが不明瞭なまま終わった感じがした。微妙な余韻だった。

村上春樹風味で書くと『わるくない。』

もしかしたら再読するたびに味が出るタイプの小説かもしれない。
読了後に少しあとに戻って読んでいる自分がいる。