マスターテープ

音楽のマスターテープについてのうんちく話。

現在、音楽の録音は「Protools」というソフトによって、デジタル化された音源をハードディスクに取り込む、という方式になっています。「Protools」以外に「Cuebase」
というソフトもありますが、占有率は10%以下でしょう(でもPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースをしている中田ヤスタカはCuebase使いで有名)

ポップスやロックなど、クラシック以外の録音は現在、楽器別にしています。

ドンカマと呼ばれるリズム音をメトロノーム代わりとしてドラムス、ベースなどのリズム楽器を録り、次にギターやキーボードなどの楽器をとってオケを完成させ、最後にボーカルを録ります。

この状態では楽器はそれぞれのチャンネル(トラックともいう)に入ったままの状態です。
この状態をマルチトラックと呼びます。

コンピュータによるハードディスク録音以前は、テープに録音しており、30年ほど前は6センチ(2インチ)幅もある大きなテープに24トラックを録音していました。(24トラック以上録りたいときはもう一台回してテープ2つ使っていました。24トラック使っているほうをMaster、それ以外をSlaveと呼びます)それ以前となると、16トラック、8トラック、4トラックと過去に遡るにつれてトラック数は少なくなっています。

この、それぞれの楽器が録音された音源を2chにまとめ、重ねる作業をトラックダウンといいます。(ミックスダウンともいう。略称はTD、またはMD)

このときに各楽器の音量配分を決めたり、どの楽器を左右のどちらのチャンネルに割り振るのかなどを考えて決めます。レコーディングエンジニアが重視されるのは、この作業のセンスを問われるからで、著名なアーティストはほとんどご指名のエンジニアがいます。
このときに出来たテープは「TDマスター」と呼ばれます。
TDマスターには複数のテイクが入っていることもあり、OKテイク以外にはkeep、NGなどアーティストやエンジニアによるジャッジが記されています。

次に、TDマスターのOKテイクだけを集めたテープがつくられます。
このときに曲間の分数なども決められます。さらにCDには曲の音情報以外にもさまざまな情報を持っており、その情報も組み入れられます。この作業は「マスタリング」と呼ばれ、出来あがったテープは「カッティングマスター」と呼ばれます。

このカッティングマスターからCDの原版が「削られ」(なのでカッティングマスターと呼ぶ)て形成され、それをもとにポリカーボネイト素材によるディスクが作られていきます。