栄枯盛衰

帰省先はかつて炭鉱で栄えた鉱山都市でした。

でも、今は「村」に相当する人口しかなく、風光明美な景観とスキー場で村おこしをしています。今回、行ったのはそういう前知識があったから、それほど寂れていないように感じたのかもしれません。
実際、こぎれいな、建てたばかりの一戸建てもかなり目に付きました。

車で30分ほどでこのあたりの中核都市に出られるので、そのあたりに勤める人たちがより安いこの地に家を建てているとのこと。また、この市では定住政策を取っており、いろいろ補助金を出しているみたいです。

だから、逆に私が50年くらい遡って、最盛期のこの町に来たら、目を見張る景観になっているのかもしれません。
沢の少しの平地にまでびっしりと立ち並ぶ炭鉱住宅、広い構内を持つ鉄道の駅、そこからさらに山の奥へ、坑道へと続く引き込み線……

それを少しでも疑似体験しようと出してきたのが、国土交通省のサイトにある過去の航空写真。そこから見つけ出してきました。

これが1977年の写真です。36年前です。

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最盛期は過ぎ、いくつの炭鉱は閉山していますが、それでも狭い平地にびっしりと住宅が並んでいます。中心部にあるくねくねとした筋は川です。下の方に見える広場は学校のグラウンド。

同じ場所の現在の写真。おそらく去年撮影されたものと思います。
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道路の形状は変わっていません。くねくねした川の流路も同じですが、住宅の数が圧倒的に減っています。とくに川の南側にあった住宅はすべてなくなっていました。

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写真の赤い矢印の地点を実際に行って撮影したもの。
アスファルトは残っていますが、雑草が割れ目から噴き出しており、その両脇にあったはずの住宅は完全になくなり、ただの空き地となっていました。この先に進んでみましたが、かつて住宅が建っていたと思われる平地は残っているものの背の高い雑草に覆われています。さらにその上の平地を支える擁壁は残っていますが、そこへ続く道は完全に草むらの中に埋没していました。

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この写真は古いほうの航空写真にある、水色の矢印の地点の、現在の姿。
かろうじてかつて道があった、ということがわかる程度でやはり自然に帰っていました。