自由浮遊惑星。
「自由浮遊惑星」、と聞くとなにやらSFみたいに聞こえますが、れっきとした学術用語です。なんとなく惑星と聞くと、恒星の回りを公転している星、と思いがちですが、宇宙には多数の「恒星になれなかった」星があります。それが「自由浮遊惑星」。
恒星の回りを回らず、ぽつんと存在しています。
自分で光らず、照らしてくれる恒星が近くにないため発見するのは難しいのですが、近年の探査でいくつか見つかってきました。
考えてみれば、ガス雲が毎回毎回核融合を起こすほどの量集まると決まっているわけもないのです。集まってみて、中心部は重力で圧縮され、赤外線の放出はするけれど(これが発見のキー)、核融合までは至らない。木星の13倍の質量が核融合を起こす/起こさないの境目だと言われています。
地球に最も近い自由浮遊惑星は「CFBDSIR J214947.2-040308.9」と名付けられました。
130光年離れており、木星の4倍~7倍の質量があると推定されています。
しかし、この質量では核融合を起こすことができません。水素・ヘリウムが圧縮されて
放出する赤外線で大気温度は400度ほど。地球からだと大気で赤外線が吸収されるため青白く見えますが、実際に近くで見たとしたら赤黒い暗い星に見えるだろうということです。
自由浮遊惑星の出来方はもう1つあります。
もともと恒星の回りを回っていたのが、近くを他の恒星が通過したりして重力作用の結果弾き飛ばされて単独の星になったもの。まるでアニメみたいですが、この星の近くには同じような惑星もなく、また恒星も存在しない(少なくとも太陽-冥王星間の100倍の範囲で)ため、もともと別の恒星系で誕生したものが弾き飛ばされたものと考えられています。
たぶん、宇宙にはこのような「見えない星」がそれこそ無数に存在するんでしょうね。